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映画「博士と彼女のセオリー」を見た

博士と彼女のセオリー

博士と彼女のセオリー

 

概要

博士と彼女のセオリー(The theory of everything)は、2014年のイギリス映画で、理論物理学者のスティーブン・ホーキング博士と、元妻ジェーン・ホーキングの結婚生活を主に描いた物語。主人公、ホーキング博士役のエディ・レッドメインは、この作品でアカデミー賞の主演男優賞を受賞した。

 あらすじ

 主人公のティーブンとのちに妻になるジェーンが出会うところから物語は始まる。二人は出会ってすぐに恋に落ちる。大学では、すでに天才的な才能を発揮していたスティーブンだったが、ある日突然構内で転倒してしまう。搬送先の病院で、スティーブンはALS筋萎縮性側索硬化症)と医師に診断され、余命2年と宣告される。悲壮感に暮れ、投げやりな態度を取り、ジェーンと距離を置こうとするスティーブンだったが、ジェーンはスティーブンのもとを離れようとしない。親からも反対されるが、ジェーンに説得される形で、二人は結婚する。

 二人の間に男の子が生まれる。そしてスティーブンの論文が教授たちから認められる。しかし身体は動かなくなってしまい、車いすを使うことになる。そんな折、宇宙に関する発表をするスティーブン。一部を除いて、観衆たちが絶賛してくれる。

数年後、二人目の子供に恵まれる。順調に結婚生活を送っているようだったが、やはり彼の病気が重篤になっていくにつれ、誰かの手助けが必要だと考えるようになる。教会に聖歌隊のレッスンを見学に行ったジェーンは、そこでピアノ講師をしていたジョナサンと知り合う。最近妻を亡くしたというジョナサンは、ホーキング家に手伝いに来てくれるようになる。ジョナサンは外見も性格も面倒見もよく、子供たちからも慕われ、家族にとってなくてはならない存在となっていく。

 しかし三人目の子供が生まれると、ジェーンはジョナサンとの仲を世間に噂されるようになる。ジェーンはそれを必死で否定し、ジョナサンとの関係も清算しようとするが、二人は互いに惹かれ合っていることに気付く。

 フランスのボルドーのオペラに誘われたスティーブンは、ジョナサンとジェーンに子供の世話を頼む。しかしオペラの鑑賞中、スティーブンの容体が悪化し、病院に運ばれる。スティーブンは喉の手術が必要となり、声が出せない身体になってしまう。そしてそれ以来、看護師エレインの指導の下、スペルボードを利用し、会話をすることになる。のちに指の微妙な動きで声を出せる音声機を使用することになる。

 そののち、スティーブンの初の著書がベストセラーになり、本の授賞式にはエレインを連れていくと言う。ジェーンとスティーブンは、そのことがきっかけで離婚することになる。授賞式ではユーモアを交えながら、客席を沸かすスティーブン。そしてジョナサンと再開したジェーンは、彼との再婚を決める。

 総評

「どんなに不幸な人生でも、やれることはあるし成功できる」

余命二年と言われ、人生を悲観していたホーキング博士。たしかに容体は年々悪化していくのだが、それ以上に自分の研究に対する情熱が強いと感じた。変化する容体に影響されることなく、次々と新しい成果を上げていくホーキング博士の生き方からは、たとえ人生に制約があっても、それでも一人一人にできることがあるし、それをやることで自分の人生を輝かせることができるというメッセージが伝わってきた。

実際に彼のアメリカでの授賞式で、博士は「人生哲学は何か?」という質問に、「(前略)人間の努力にも境界はありません。(中略)いかに不幸な人生でも、何かやれることはあり、成功できるのです」と答えていた。彼は実際まさにそれを体現している。その分説得力があると思うし、またその言葉には励まされた。

 人生におけるユーモアとは

また博士はケンブリッジで観光客に、『本物のホーキング博士ですか?』と聞かれたとき、『本物はもっとハンサムです』と答えました」と回答し、笑いをとっている。そこでハッと気づいたのは、人生におけるユーモアの必要性だ。どんなに不幸な人生でも、ユーモアがあれば、不幸をオブラートに包むことができる。ユーモアは暗闇を照らす光になる。だからどれだけ人生で色々なものを失ったとしても、最後にユーモアだけはなくしてはならないのだ。そんな博士の知性やユーモアであふれた人間性に、ジェーンやエレインをはじめとして、多くの人が魅了されるのも、うなずける話だと思った。

妻の献身

またジェーンの妻としての献身にも心を打たれた。ジェーンがいなければ、あれほど目覚ましいホーキング博士の活躍もなかったのではないか。実際、気管切開か死かを選ぶ場面で、「彼は生きなければならない」と強く主張する姿には心を動かされた。そして最後に博士とジェーンが別れを決意する場面で、ジェーンの「I have loved you」というセリフがあった。それが「I loved you」ではなくて、期間を表す「have」が使われていたところが印象的だった。彼女はただ単に彼を愛し「た」のでなく、ずっと長い間、彼を愛し「続けてきた」のだった。その場面には思わず、「ジェーンお疲れ様」と言いたくなった。

最後に

最後にホーキング博士を演じた俳優、エディ・レッドメインの素晴らしい演技に一票を投じて終わりにしたい。まさに彼はホーキング博士の生き写しではないかと思うくらい、最初から最後までホーキング博士っぽかった。そしてホーキング博士のチャーミングで親しみやすい魅力がよく伝わってくる。

 

Written by ユカ@コーヒー